昨日(15日)の道新朝刊記事
は取材不足では片づけられない、重大なミスリード報道だ。通常は全文引用は避けるのだが、今回はあえて全文引用し、皆さんにも読んでいただきたい。(下線は筆者)が
二十間坂・自由の女神像撤去へ 「景観との調和」課題残す 市の基準にあいまいさ
函館市元町の二十間坂通りに設置された「自由の女神像」(6・3メートル)の問題は15日、設置したマルキタ北村水産の北村暢一社長が同社元町店で会見して8月20日までの撤去を表明、解決の運びとなった。像をめぐっては同社と撤去を求める市民団体が対立し、一時は長期化も危ぶまれたが、15日午後には北村社長と市民団体の一つとの話し合いも初めて実現した。今後、同様の問題を防ぐために、工作物に関する「周囲の景観との調和」に関して市都市景観条例での基準の具体化が課題となっている。(伊藤美穂、安本浩之) 「地域の人と話した上で、市が決めたことには従う」。女神像が設置された6月上旬、市が「都市景観形成地域内として事前に設置の届け出が必要な工作物にあたり、撤去が必要」との見解を伝えたところ、北村暢一社長は撤去に応じる姿勢だった。 一方、市に撤去を要望する市民団体は「景観保護の努力を土足で踏みにじった」など強い表現で批判。同社の下水処理など営業面のほか、店舗2階のカラオケの騒音にも懸念を示した。 このため、北村社長は「誤解されている」と、市に対し、話し合いを撤去条件として主張。一方、市民団体側は「話し合いを解決条件にするのは筋違い」と応じず、今月14日に市が是正勧告したものの、話し合い実現のめどが立たず、長期化の可能性もあった。 テレビ番組で知り、北村社長を説得した函館出身で歌手の佳山明生さんは、問題の解決に「社長は善かれと思ってやったけど、函館のためにもこういう争いは良くない」と安堵(あんど)していた。 一方、女神像問題は、函館市都市景観条例が定める「周囲の景観との調和」の基準の不明確さを浮き彫りにした。市や都市景観審議会の意見でも、不調和性について「必然性がない」「違和感を感じる」など漠然とした表現にとどまった。 女神像については、市内部にも「『もっと小さい』か『西部地区以外の場所』なら問題なかった」との見方もある。 荒井俊明市都市建設部長は「トラブルのないようにわかりやすい条例にするのが大事。例を示したガイドブックなどを作り、条例をよりよくしていきたい」と話している。 歌手の佳山さん説得で 北村社長 自由の女神像撤去を表明した北村暢一社長が15日開いた記者会見での一問一答は次の通り。 --女神像を設置した理由は。 「店の2階を近所の人が集う『自由な空間』にしたかった。自由の女神像はその目印。設置費用は70万円。撤去は50万円ぐらいかかると言われている」 --撤去を決めた理由は。 「10年来の知り合いで、函館市の観光大使をする佳山明生さんから数日前に電話で説得されたことが一番の理由。脅迫まがいの電話やメールも来て営業に支障も出ていた。(市民団体の)要望書で、像撤去以外に看板の大きさや防音設備、排水処理について指導を求める項目もあったが、それは問題なくやっている。直接話して理解してもらってから撤去しようと思っていた」 --今回の騒動を振り返ってどうか。 「自分は函館市景観計画にのっとって建てたし、設置当初も今も景観上問題があったとは思っていない。ただ、最初に町内会長の所に行って自由空間の説明などを怠ったことは反省しているし、今後も2階は自由に使ってもらいたい」 市民団体の一つ 社長と話し合い マルキタ北村水産の北村暢一社長は15日、自由の女神像撤去を表明後、像の撤去などを求めて函館市に要望書を提出していた「函館の歴史的風土を守る会」の落合治彦会長らと話し合いをした。 同会は像の撤去を求めていた6団体のうちの一つ。店名の看板や排水処理、騒音などについても市の指導を求めていた。北村社長は、像を撤去する方針と営業上で法律違反がないことを説明。落合会長は「要望書は何人かの周辺住民の話を聞いてまとめたもので、自分では確かめていなかった。(社長の話を聞き)クリアしている部分が多かった」と話した。 ====== 一読して明らかに北村社長に同情的と読み取れる文章である。函館(市や市民)の景観問題への長い積み重ねへの無理解と、住民団体が北村社長に「きつくあたっている」、気の毒では、という感傷が記事全体を間違った方向に引っ張っている。 的確な論評がすでに公開されているので、以降、以下のリンク先の記事に譲る。 |
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