騒ぎから3日目の6月8日
設置が5日(土)、日曜には記事にならず、7日(月)が新聞休刊日だったため、道新に記事が掲載されたのは騒ぎが起こってから3日目となった。
。
タイトルは
ニ十間坂上 自由の女神像めぐり波紋
モニュメント 景観損なう
企業設置 函館市が調査着手
概要は
「函館市西部地区の要である二十間坂上に、函館市内の海産物販売業者が高さ6メートルの「自由の女神像」を設置した。ハリストス正教会にほど近い観光エリアにあり、市の都市景観形成地域内でもあるため、住民から疑問の声が上がっている。市は7日現地調査に着手するとともに今後の対応について検討を始めた。」というもの。
こういう場合の道新の常として、できるだけ公平な扱いとなる。きちんと業者側も取材し、言い分(?)を掲載
北村水産社長北村氏は、
・この像はモニュメント
・法的に問題ないことを確認
・広告の要素は全くない
・景観を害しているとも思わない
・この地区には寺院も教会もあるのに自由の女神がなぜいけないのか
と、強気一辺倒の発言
一方は都市景観審議会の委員山内氏(建築家)の発言
。
・市の条例に触れる触れない以前の問題で、論外
・函館の街の精神性を理解していない
・観光都市として景観を整備し、ひとを呼ぼうとしてきたのに、自分のことだけしか考えていない
と批判したという。
商売のことしか念頭にない方からみれば、元町の景観地区は観光客がたくさんいる「マーケット」でしかない。派手な「モニュメント」で目立ち、客寄せができればいいという浅薄で露骨に利己的な精神。この会社のベイエリア店もかねてからそのど派手な看板が顰蹙を買っていた。(隣は指定建築物の高田屋嘉兵衛記念館)
ところで、余談だが、この道新記事の写真説明
アングルとして「女神」と「教会」をツーショットにしたところまではなかなかなのだが「すぐ近くにはハリストス正教会(奥の写真)も見える」とはあきらかな間違い。(カソリック教会が正しい)。記者本人の認識不足も問題だが、何人もの校正をすりぬけてこういう記事がでてしまうというのは、残念。
6月9日、女神像で一躍「有名」となった北村水産元町店がオープン。
遠くからもそれとわかるほどの人出。ホタテやほっけなどの超破格セールをめがけて多数の(ほとんど住民の方でしょう)が詰めかけた。
ちなみに6月8日の北海道新聞には、ここの女神像について「自由の女神像をめぐり波紋」という記事が掲載される一方で、他のページにはこの女神像が大きく映っている写真を使った「オープン記念大特売」の大広告が。
実は北村水産が多額の売り上げを誇る「楽天」の同社サイトにも同様に「女神像」を大写しにした写真が登場したのだが、なぜか数日で差し替わってしまった。
さて9日のオープニング、普段は閑静な景観地区がときならぬ怒声・掛け声(10円10円安いよ!)で騒然。これだけでも十分周りの雰囲気を壊しています。
女神像はそうした喧騒をよそに、ひたすら店のランドマークとしての役割を演じ続けていました。黄色いユニフォームは店員さんたち。ずいぶん多かったですね。
ちなみに、店名表示もかなり派手ですね。周囲とは不調和。
生簀に集まる消費者
店内は意外に静か
ちなみに、アングルによっては、女神像、カトリック、ハリストスのトリプルショットも。
修学旅行生の一団が坂を登っていきます。「函館で自由の女神を見てきた」と報告するのでしょうか。
6月24日
相変わらず居座り続ける「ニ十間坂の女神」
市は29日に再度の景観審議会。ここで設置者から提出された「工作物」の設置に関わる「届け出」を審議するという。たかが一体の強化プラスチックの像にずいぶんと手間暇のかかる手続き。
一方市民団体(じろじろ大学)は25日にまちづくりセンターで「勉強会」を開くという。
署名活動も始まったようだ。
さて、この間の設置者北村氏の発言の中で
「周囲に教会も寺院もある。いろいろな宗教があるんだから女神があってもいい」という珍発言があったとされる。なるほど、「女神」なのだからある種の「宗教性」を帯びていると当事者は信じているらしい。まさに信教の自由というわけか。
しかし、残念ながら日本国内の各所にある「自由の女神」)のコピーの大半がそうした「宗教性」とは無縁の、ただの広告塔=客寄せの造形物であることはちょっと調べればわかる。試みに下記のサイトをご覧あれ。
全国の「自由の女神」像コレクションサイト
ここに収集された写真全部で14件中の半分がパチンコ店、次に多いのがホテル(それもある種の)であることに注目。
よその国の建国の記念物を(多分)勝手にコピーして、こういう客寄せに使うというのは、外交儀礼に反しないか?すくなくともある種のいかがわしさがついて回ることは禁じえない。
北村社長がそうした事例をご存じであったかどうかはわからない。少なくとも「話題」性という点では初期の目的を達したといっていいだろう。
ある「消息通」氏のご意見では、北村水産は元町での直売に多くを期待しているわけではなく、本業のネット通販(楽天では市内でも有数の売り上げとか)での知名度アップが目的とか。となれば、「楽天」での不買運動でも起こすしかないということか。 そろそろ退路を確保して、いかにスマートに撤収するかを考えるべきときだと思うのだが。
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