署名TVで始めた「自由の女神」撤去を求める「電子署名」の少し詳しい背景・経緯を以下に書いています。(長文注意:3,000字)
概要
函館市の西部地区(函館山山麓一帯)の美しい街並み景観のど真ん中に先月6月初旬、高さ6メートルの巨大な「自由の女神」のレプリカが出現した。地元の水産業者が宣伝目的で設置したこの女神像は周囲の景観を著しく損なうものとして、付近住民や市民団体から早速反対意見が殺到、市の景観審議会も「撤去相当」との指導を行ったが、本日(7月12日)現在、設置者は応諾の姿勢をしていない。
私たちはこの「自由の女神」の即時撤去を求める声を全国的レベルで拡大するために、このたび6人の発起人の賛同を得て「電子署名」活動を開始する。
目的
函館の西部地区は、開港都市函館の原点といえるエリアで、多数の伝統的建造物や独特の和洋折衷住宅が立ち並ぶ歴史的な景観を形成している。函館市は1995年、国に先駆けて独自の都市景観条例を制定、歴史的街並みの保全に注力、多数の市民団体も協力して街並みの維持・保全・活用を図ってきた。そうした努力が観光都市「函館」の魅力の大きな部分を支えてきたといえる。
こうした事情を無視するかのように、ある水産事業者がこのエリアのニ十間坂坂上の、自社の新店舗前に巨大な「自由の女神」像を設置。周囲の景観とは全く不調和なこの像によって周辺の景観が損なわれ、また、店舗営業自体が周辺環境を悪化させている。
本日(7月12日)現在、設置者は多数の住民の反対や市の指導にも拘わらず撤去を拒んでいる。
本署名活動は
●函館市長
・「女神」像の即時撤去に向けた強い行政指導
・類似事件の再発防止に向けて現行の景観条例の改訂
●設置者マルキタ北村水産社長、
・「女神」像の即時撤去
・周辺の環境悪化をきたしている販売活動の自粛
を強く求めるもの。
経緯を以下にまとめる。
■景観保全地域に「自由の女神」像
2010年6月6日(土)函館西部地区のニ十間坂上に突然巨大な「自由の女神」像が出現。設置したのはこの場所に鮮魚店を開店したマルキタ北村水産(北村暢一社長)。店の周囲は函館の街並み観光のメッカともいえる場所で、ハリストス正教会、カトリック元町教会、聖ヨハネ(英国国教)教会、東本願寺函館別院などが立ち並び、市の景観形成指定区域にも指定。「女神」像は、函館山山麓でも最も道幅の広いニ十間坂を登り切った突き当たりの場所、いわばアイスポットともいえる場所に建っている。高さ約6メートル、強化プラスチック製、夜はライトアップされ、爪にはマニキュアも塗られている。周辺住民からは「女神」像設置による「景観破壊」の他に、住宅地域の真ん中に出現した「蟹屋」の客引きや音楽の騒音、夜のライトアップや店の強い照明などの「光」害、さらには異臭・汚水など周辺環境の悪化も指摘されている。
■反対の動き
設置後すぐに多数の反対の声があがり、Twitter上の書き込みが当初3日間で300を突破。95%以上が「不快」「恥ずかしい」「早期撤去」というもの。翌週には函館市の担当部署(都市建設部)にも抗議が殺到。9日に開催された市の景観審議会では、「女神像は景観条例で定める工作物にあたるが事前の届け出がない」ことを理由に届け出の提出を指導することを決定。この段階で市側も審議会委員も「周囲の景観にそぐわない、撤去しかない」との判断だった模様。
■北村社長は強気
北村社長は取材に答え、この女神像は「モニュメント」「法的に問題ないと確認」「広告の要素は全くない」「景観を害していると思わない」「この地区には寺院も教会もあるのに自由の女神がなぜいけないのか」などと反論。同社は市内で他にも観光客相手の蟹の小売業も営んでおり、ニ十間坂の店は分店。10日その「元町店」がオープン、開店を伝える新聞広告やネットサイトにも「女神像」が映っており、宣伝効果を狙ったことは明らか。ちなみに同社は楽天での蟹の通販では函館でもトップレベルの実績とされている。
反論の「なぜ「女神」がいけないのか」の部分は、「自由の女神」が宗教的モニュメントであるとの誤解によるものと思われる。実際には本家のニューヨークの「女神」は米国の建国にあたって仏国から贈られたもので、「建国の象徴」。日本では他国の大事なモニュメントを勝手に模倣してラブホテルやパチンコ店の屋上に飾るケースが多いのだが、そうした事実、北村社長はご存じか。
■ニュース報道
報道は地元紙の北海道新聞、函館新聞が9日10日と「女神像で波紋」などと報道。10日以降、共同通信や朝日が報道、19日には毎日記事がYahooニュースのトップに掲載されて一気に全国版になった。Twitterでの書き込みもそれに伴って全国規模になっていく。(4週間で書き込みは累計800を突破)その後も報道は続き、30日にはフジテレビ、7月3日にはNHKがそれぞれ全国ニュースで取り上げている。
■その後の動き:二度目の景観審議会
6月23日の市議会委員会では担当部長(都市建設部長)が「(女神)像は突出して目立ち、周囲の景観を阻害、是正の方法として撤去しかない」と、一歩踏み込んだ発言。24日には函館市と市民団体との話し合い。さらに25日には市民団体が主催する「自由の女神」問題勉強会が開催され、市民50人が参加。29日、函館市景観審議会は設置者からの「工作物」(=「自由の女神」)の設置届け出を審議、「周囲の景観と調和せず、撤去を指導する」との結論。設置者にその旨が通達された。回答期限は7月12日。
一方の北村社長はテレビの取材に対し、「要請した行政・住民を交えた3者協議が拒否された」「多数の賛成者もあるのでまだ頑張る」と依然抗戦の構え。同店では修学旅行などで同店を訪れた小学生に署名を頼んでいるという「怪」情報も。
■景観を守っていくには
かつて小さなお土産店があったこの場所が数年前更地になり、北村水産がこの場所を取得し、新店舗を設けるべく函館市との事前協議が始まったのが1年ほど前。当初の建築プランが「全く周辺景観と異質」(関係者)だったことから、再三の指導がなされて、現在の建物デザインになったという。この建物は函館市の「景観形成住宅等建築奨励金」制度から補助金(200万円)が交付されているが、厳密に認可基準を満たしているか、また店舗の巨大な看板も同エリアの「屋外広告物」の規制基準をクリアーしているのか、疑問の声が出ている。
今回のケースは建物の事前協議の中では持ち出さず、届け出義務を無視して抜き打ちで「女神」像設置を強行した「確信犯」の疑いが濃厚。この場合、既成事実が先行し、事後「指導」→「勧告」となってしまう。なお現行法令では行政側に強制撤去などの権限はないとも。
直後の市議会でも、なぜかこの問題は議論されず、また、経済界からはこの問題にほとんど意見表明がない。
今日7月12日が「撤去指導」への「回答期限」だが、残念ながら決着は望み薄のよう。長期化の可能性に備え、また今後の函館の景観行政に向けての警鐘を鳴らす意味で、全国規模での皆さんからのご支援をいただき多数の署名獲得につなげていきたい。
Twitterやブログで是非この署名活動を拡散して頂きたい。
■この電子署名の情報
・発起人 星野 裕、松石 隆、奈良 哲男、高橋 直樹、岩本 一志、岩本 一也
・関連URL: http://bit.ly/c5acsf
・E-mail [email protected]
■函館市の担当部署
・函館市都市建設部都市デザイン課
・電話 0138-21-3388
・E-mail: [email protected]
■マルキタ北村水産の情報
・代表者 北村 暢一
・所在地 北海道函館市大手町9番10号
・電話 0138-22-1440 FAX番号:0138-22-0144
・E-Mail [email protected]
・URL http://bit.ly/bA3qTk
・楽天内ショップ
蟹のマルキタ北村水産「北海道」
URL http://bit.ly/cB9LRi
最近のコメント